ホイッスル

病気を発症したとき笛が鳴ったように感じた

必ず勝ってトロフィーをもらうことだけを考えた

相手は世界一の強敵で打ちのめされる

あらゆる技を使っても敵わない

私よりも遥かに大きくなっていく感覚がして

口元や視界を塞いでクラクラさせてきたり

大事なものを奪い去っていく

今までの功績も思い出も夢も人も

でもそいつは本当に大敵なのだろうか

苦しめてくる実物のない

得体の知れないそいつは私と命をかけた戦争がしたいのだろうか

顔を見合わせたことは今まであっただろうか

挨拶はしただろうか

そいつは私の心臓を憎んでいるのだろうか

ただ本当のことを

攻撃に見える形で示して来ているだけではないのか

そこまでしないと本人が気が付かない大切なことを

死なないでおくれよ。
と脳内が信号を出しているのかもしれない

責めないでおくれよ。
と小さな子どもが服を掴んで引っ張っているだけかもしれない

あなたの中に生まれた反応はあなたを救うために

あなたの外に出された反応はあなたの本音を見せるために

笛は鳴っていなかったのかもしれない。






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