背ける

仕事をしている合間、作業で触れる物を何かネタに出来ないだろうかと考える。

バックヤードにある小窓から雨音が聞こえる。雨は見えない。でも自然の潤いの香りがする。不自然な匂いに消されそうになるのだけど、私が感じようとすれば大丈夫。

この世界もいずれ忘れてしまう。
人も、部屋も、店も、街も。確かな事実として、儚さを持っているのが日々で在る。

私がある場所で、どんな風に扱われても、何を思われても、擦りもしないボールのように、どこか遠くへ飛んでいく。

ひとつの出来事に騒いでも、心の雨に濡れて消されてしまうから、私は耳を塞ぐ。
雑念が隙間から入り込んで来るのを無視しながら、帰る時間まで、ただ何気なく過ごす。


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